概要：
　20世紀を代表する設計者フランク・ロイド・ライトが日本に残した建築の中で、現存するものは
わずか3件。そのうちのひとつが自由学園明日館です。来日中のライトが、自由学園を創設した
　羽仁もと子・吉一夫妻の教育方針に賛同し、設計依頼を受諾したもので、ライトの助手・遠藤新
との共同設計です。
　芝生の中庭を囲むように中央棟・東西教室棟がコの字型に配置され、道路をはさんで講堂があり
ます。軒高が低く水平線を強調したデザインは、池袋と目白の間の住宅街に、ゆったりとした魅力
的な空間を作り出しています。
　遠藤新デザインの家具も秀逸です。中央棟2階食堂の椅子は、1種類の厚みの板だけで構成
しながら、洗練された形態になっています。教室内部のデザインもひとつひとつ異なります。
明日館の特徴の一つに、使用しながら保存する「動態保存」があり、結婚式や講演会、コンサート
の会場として一般に貸し出されています。
　1997年（平成9年）に国の重要文化財に指定されました。保存修理工事には東京土建の組合員も
参加しています。

1 中央棟正面 芝生に面して建つ中央棟のファサード。 大谷石をふんだんに使っています。 軒高を抑えた、 落ち着いた印象をお伝えできる 全体写真があればよかったのですが…。   2 中央棟ホール窓 2階吹き抜けからホールの大窓を見たところ。 この窓のデザインが明日館全体の シンボルになっている気がします。 1階は喫茶スペースです。   3 教室内部 黒板の周りの装飾的な回り縁が、 遠近法的な効果をもたらしています。 こんな教室で勉強できたら素敵ですね。     4 食堂の椅子 椅子が同じ厚さの材料だけを 使っているのに感心しました。 木拾いがしやすく経済的でありながら、 赤いちぎりをポイントに配した おしゃれなデザインです。 5 講堂外部 講堂は中央棟より後に完成しました。 遠藤新の設計です。 内部は教会のような雰囲気で、 結婚式やコンサートなどに 貸し出されています。 東京建築カレッジ公開講座の会場としても 使用させていただいております。     6 講堂の窓 木製枠の斜めのラインが外部を リズミカルに印象付けています。